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第1回 Part3 中村勝宏プレゼンツ ~美味探求~

料理研究家 辰巳芳子氏 第1回 Part3

【月刊HOTERES 2017年06月号】
2017年06月09日(金)
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ホテルメトロポリタンエドモント 名誉総料理長 中村勝宏氏
料理研究家 辰巳芳子氏

はじめに
以前、このホテルレストランの誌面で十六名の食のエキスパートの方々と対談させて頂いた。このことはかけがえのない財産となっている。そして改めて食の深さを知ることとなった。今日世界的にさまざまな問題が生じ混沌として厳しい時代となった。しかし私どもはいかなるときも食と向かい合ってゆかなければいけません。この度の対談の再開にあたり、新しい視野の元、敬愛する皆さまと互いの胸に響きあえる対談を心してまいりたい所存です。
 
飽食の時代に「食」を考える
 
中村 それでは、スープから先に進みたいと思いますが、抽象的な表現になってしまいますが、現代の食生活は豊かであるがゆえにさまざまなゆがみみたいな物が垣間見られます。例えば、一昔前に、「飽食の時代」と言われておりましたが、今でもそれは継続中ですね。全国隅々に展開しているコンビニエンスストアのおかげで、いつ何時なんでも今は食べられます。昔はハレのときとか、この時期じゃないと食べられない物も多くありましたけれど、今やデパ地下などに行くと、ぜいたくにもあらゆるものがいつでも食べられる時代となってきました。これはこれで実にありがたいことですが、一方では食に対する喜びとか尊さというものが徐々に薄れてきていることが気になります。先生はそういうことに対して敏感に感じられ、ご意見もおありでしょうが、そこの所を少しお伺いしたいと思います。
 
辰巳 そうですね、出来合いのものを買ってきて食べる、それはそれで済みます。でもそうすると、物事を根っこの所から組み上げてやっていくという、それが抜けてしまった人間が増えていくのではないか。であるから、皆薄っぺらに生きていく、そういう人が増えはしないかと思って、それは心配ですね。分かっているつもりで生きていく、そういう危うさを感じてしまいますね。
 
中村 以前は当たり前として親しまれてきた「おふくろの味」というものも、時代とともに失われつつあります。それから、辰巳先生の「食の位置づけ」というご本の中で、「人はなぜ食べなければならないか」というテーマで、若干哲学的な意味合いも含めて、素晴らしいことが書かれておりますが、今日ではあまりにも食というものがあまりにも身近にあふれすぎ、それに対して一歩立ち止まって考えるということが、本当に少なくなってきましたね。

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