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第18 回 観光施設メディアラボ  公益社団法人国際観光施設協会編 

第18 回 ホテル・旅館の安全の手引き/避難絵図の提案

【月刊HOTERES 2016年10月号】
2016年10月07日(金)
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鹿島建設㈱ 建築設計本部
建築設計統括グループ シニアマネージャー
野出木 貴夫氏

安全・安心のおもてなし
 リオのオリンピックも終わり、いよいよ5 輪旗は東京に引き継がれました。2013 年の流行語大賞に選ばれた「おもてなし」というフレーズも最近聞く頻度が少なくなった気がしますが、果たして準備は進んでいるのでしょうか?
 
 観光庁の発表によれば2015 年の訪日外国人客は1974 万人で、2020 年には4000 万人、2030 年には6000万人と目標を大幅に更新しています。一方で日本特有の地震、台風など自然災害は決して少なくなることはなく、火災などの人災も皆無とすることは困難と言えます。
 
 飛行機に搭乗すれば必ず椅子の背に「安全の手引き」が置かれ、モニターでその内容が流れます。ホテル・旅館も同じお客さまの安全を預かる施設として「安全の手引き」の周知・徹底が軽んじられる理由は見当たりません。確かに客室扉に避難経路図、約款のファイルに「安全の手引き」が入れられているでしょうが、それは言い逃れの姿勢であり一歩踏み込んだ「おもてなし」の姿勢には程遠いものがあります。地震に不慣れな外国人が過剰なパニックを起こさず冷静に待機あるいは避難していただくことは安全確保の観点だけでなく、ホテルの運営上にも少なからぬメリットが出てくると言えます。
 
 
安全の手引き・避難絵図の開発
 52 年前の東京オリンピックで言葉に寄らないピクトグラムがサインとして初めて活用されたことは有名です。その後のオリンピックだけでなく交通サインに広く普及しました。当協会のホテル都市分科会では2010 年よりの「ホテル・旅館の安全の手引き」を調査研究事業の一つとして進め、その成果として「避難絵図」(図3)開発をしました。全日本シティホテル連盟に協力をいただき実際ホテルでの実証実験を繰り返し「避難絵図」と「手引き」(図4、5)の併用を推奨することにしました。その後の普及活動で全国約6000 室に採用されています。開発の経緯、普及活動などは週刊ホテルレストラン誌(2014年1 月10-17 日号) に掲載されていますので是非ご参照ください。
 
4 か国言語動画と旅館版の開発
 
 2012 年には「安全の手引き」を客室TV に表示するための動画(英語)を試作しYOUTUBE に投稿(図2)し大きな反響を得ました。本来はチェックインする時にフロントで手引きの存在をお知らせするのが薦められますが、自動チェックインが進む時代に合わせ、自動的に流れる動画版「安全の手引き」が有効と考えています。しかも言語選択が画面でできればよりシンプルで理解度が高まるものと思われます。最近は自動音声読み上げソフトの開発が進み「安全の手引き」の4か国語の自動音声読み上げの準備を進めております。近々に発表の予定です。
 
 ピクトグラムの普及に日本が貢献したことは前述しましたが、最近はアニメ文化が日本の観光の目的の一つとなっています。2012 年版ではグラフィカルなピクトグラムを活用しましたが、旅館にふさわしいものが無いかとの意見を頂いていました。2016 年には、当協会員A&M社の江戸川五郎氏の協力を得て少しウイットに富んだ読みたくなる「安全の手引き」を開発中(図6)です。どうかご期待ください。

図1 2012年SDA賞入選
図2 2012年Youtube動画投稿


図3 避難絵図シール(客室の扉に設置)


図4 避難安全の手引き1(表)(客室の枕元に設置)


図5 避難安全の手引き2(裏)(表裏印刷でパウチ加工)


図6 2016年安全の手引き・旅館版(開発中)江戸川五郎作

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