ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 求められる人材を探る「Wプロフェッショナルズ」 第18 回 ケイフローリスト 代表取締役社長 栗原浩之 氏 × 福永有利子 氏
第18回 求められる人材を探る「Wプロフェッショナルズ」

第18 回 ケイフローリスト 代表取締役社長 栗原浩之 氏 × 福永有利子 氏

【月刊HOTERES 2016年02月号】
2016年02月05日(金)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

福永 情報がオープンに共有されることで、“私は私”という個人的な意識を改善することができますね。またウエディングプランナーもしかりですが、先輩から教えることが経験や感性により異なりますので、全社オープンにすることで、個々の先輩からの知識やノウハウの習得の差が軽減されます。
 
栗原 特に最近の新入社員はいち早く習得しようという意欲が弱く、教えてもらえるまで待っているという傾向にあります。この状況を改善させるためにも、グーグルにアップされた同期のがんばりなどが見えると、“私は私”というデザイナー独特な発想を払拭させ、“私も頑張らなくては!”という意識を芽生えさせることができます。
 
福永 ウエディングプランナーも“人より早く接客したい!”という意欲の強い新人が少なくなったと言われていますが、本人に直接聞いてみると“早く接客に出たいです”という回答が返ってきます。この気持ちをどのようにして積極的な姿勢として現していけるのかが課題です。
 
栗原 もちろん、新人ですぐにお客さまの前に立ち接客することは経験や技術面、対話力や聞き取る力などから難しいかもしれません。しかし、自分たちが考えたアイデアが実現化することでモチベーションを高めることができます。あるとき、チャペルのバージンロードに花びらを敷き詰めたようなじゅうたんを考えたスタッフがいました。早速、ご提案したところアイデアが起用され全店で導入されました。アイデアが採用されることで、当然、モチベーションは高まります。そのようなチャンスを生かすためにも、新人もベテランも関係なく同一の情報を得られることで、技術的には追いつかないスタッフでもベテランがカバーして新たなものを生み出せる可能性があるのです。付加価値のある商品力はホテル・式場様にとっても求めていることであり、売り上げアップにもつながります。
 
福永 柔軟な発想を全スタッフで共有することはとても大切なことです。お花のアレンジは同じお花を使い、同じアレンジをしていてもデザイナーさんによりみんなちがっています。
 
栗原 ケイフローリストとしての基本的なテイストはあります。しかし、同じピンクでも濃いピンクや淡いピンクなど、何種類ものピンクが存在します。これまでは花の発注担当者がまとめて仕入れをしていましたが、今は「仕入れ委員会」が軸となり、個々の事業所単位で行なっています。例えば“ピンクのバラ”と言われて注文しても、実際に届くと“この色じゃない”ということがありました。それは現場を知らないスタッフが“ピンクのバラ”を注文していたからです。仕入れコストのムダも生じます。それを改善するために現場を知っている者を「仕入れ委員」とし、求めている花の色をきちんと仲卸さんに伝えることで、ムダのない仕入れを行なうことができるようになりました。またブレないテイストを発揮できるとともに、仕入れに携わることでコストに対する意識も芽生えます。
 
福永 それは素晴らしいことですね。コスト意識を持つことでお客さまとのヒアリングの中で、どこまでいくらで提案できるかも自分自身でコストを理解しながら応対することができます。最近はプランナーさんに代わってお客さまと直接お打合せをする会場が増えています。もともとが営業マンではありませんから、接客力(提案力・ヒアリング力)も兼ね備えた人材育成が必要ですね。
 
栗原 フラワーデザイナーも接客業と事務仕事ができなければなりません。これまでのように職人さんでは済まされない時代となりました。当社でも接客力を高めるために“聞き取り方”“聞き出し方”のロールプレイングを行ない指導しています。“どんなお花がいいですか?”と、初めて経験する結婚式で、何をどうして良いのか分からない新郎新婦様に向かって、そんな質問をしていては顧客満足を得えることができません。まずは最初に節度を持って仲良くなることです。仲良くなるためには、どのような話をするのかを習得させています。信頼関係を築くことで心の奥底にあった要望がポロっと出てきます。当社ではロールプレイングで合格点を取らないスタッフは打ち合わせにデビューすることができませんので、皆、必死に会話力、ヒアリング力アップに向けた努力をしています。
 
福永 営業力強化のロールプレイングに注力されているとは素晴らしいことです。ウエディングプランナーも先輩の姿を見て覚えなさい! という風潮が強く、ロールプレイングを行なっているホテル・式場はまだまだ少ないようです。また自身の業務に追われ後輩たちは指導に当たる時間がないことも事実です。しかし、積極的、意欲的な新人が少なくなる中で、マニュアルとしてのロールプレイングを導入することは重要なことです。
 
栗原 時代の流れや育った環境にともなう変化から、これまで通りでは通用しないことが多々あります。ただ時代や環境は変わっても当社は“感動すること”を大事にしています。どうしたら感動していただけるのか、新郎新婦もそうですが、かかわるホテル・式場様に対しても同様です。以前、披露宴で行なう100 本の真っ赤なバラを捧げる新郎から新婦へのプロポーズの演出も、新婦様はもちろんのこと、会場からもこれまでにない感動的でユニークな演出として喜んでいただけました。そのためにも考えていること、思っていることを具現化できる職場環境を作り出すことが私の使命です。おそらく、同業他社と比較するとかなり厳しい教育プログラムを組んでいると思います。それは皆にステップアップしてもらい、感動を呼ぶコーディネートを提案し続ける企業でありたいと思うからです。経営理念からぶれることなく、これからも時間軸や経験値に左右されない、ベテランも新人にもチャレンジするチャンスのある企業を目指して行きます。
 
福永 どうしても感性に頼りがちな職種ですが、これまで研修や一体感のある経営をされていることは素晴らしいことです。今後、ウエディングのスタイルも変化する中で、バラのじゅうたんやプロポーズの100 本の赤いバラの花束など、新たな企画でウエディング業界に刺激を与えてください。本日はどうもありがとうございました。

㈱ケイフローリスト
代表取締役社長
栗原浩之

1962 年生まれ、1982 年㈱ケイフローリスト入社、96 年、代表取締役に就任。当時、主力取引先の日本閣にて、ピーク時に年間2200 組の結婚式のフラワー装飾を行なう。婚礼のほか、世界の名だたるブランドの展示会装飾も手掛け、そこで培ったデザイン力を特徴に、2003 年よりハウスウエディングへ進出、以後、事業所を全国に展開、「高付加価値高単価」を合言葉に多数のフラワーデザイナーを育成、デザイン力もさることながら、顧客とのコミュニケーション力の高さから、高単価な披露宴装飾を実現。15 年には業界初となる「お花」をテーマにした披露宴「フラワーウエディング」を発表した。

㈱フェイス
代表取締役
福永有利子

レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003 年にウエディングプランナー養成スクール講師をはじめ、06 年より大学にて非常勤講師として教壇に立ち、現在も教鞭を執っている。06 年堂島ホテル婚礼部長に就任、その後08 年同ホテル副総支配人に昇任。09 年には㈱フェイスを設立し、代表取締役に就任。現在は、ホテル・ゲストハウスを主に成約率向上を目的としたトレーニングや集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、ウエディング全般にわたる支援を行なっている。著書・ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19 の育成術

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年04月15日号
2024年04月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】本誌独自調査 2024年日本のホテルチェーングループ一覧〈前編〉
【TOP RUNNER】
リージェントホテル香港 マネージング・ダイレクター ミシェル…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE